物販店の店舗内装が重要になる理由とは?

新しく物販店を開業する上で欠かせないのが、店舗の内装デザインです。莫大な資金がかかるクリニックや飲食店と比べれば費用は抑えられるものの、それでも決して少なくない資金が必要となります。そのため内装デザインにさほどこだわりがない場合は、疑問に感じる方もいらっしゃることでしょう。ここでは物販店における店舗内装・デザインの重要性について、その要素・理由を詳しく解説していきます。

店舗内装が重要である理由は売上と集客に影響するから

店舗内装

物販店および小売店における店舗内装は、売上・集客に直結すると言っても良いくらい大きな要素です。内装が良いか悪いかで、来店したお客様に与える印象は大きく変わってしまいます。見た目が9割という法則は、お店の内装にまで深く影響します。人間は情報の多くを視覚から得て、そこで最初の印象を決定してしまうという現象を無視することはできません。たとえばせっかくの希少な宝石も、発泡スチロールの容器に陳列すれば価値が下がって見えることでしょう。

反対に格安の衣服であっても、間接照明と広々とした空間に一着ずつ大事そうに並べれば高価な洋服に見えます。少し演出の分野の話も入ってしまいましたが、店舗に初めて入ったお客様は見た目で判断します。良い雰囲気のお店であるか、商品を適切に飾っていて大切に扱っているお店なのか、といった情報を視覚から得て判断されてしまう訳です。口コミや接客・対応で集客を稼ぐことはできますが、やはり入店したお客様に良いお店だと判断してもらえてようやくスタートラインに立てるということを、しっかりと認識しておいてください。

内装デザインはコンセプトが不可欠

集客力を向上させるために内装デザインは必須ですが、そんな中でもコンセプトは欠かせません。内装デザインにこだわれば良いからと言って、安易に高級な雰囲気やおしゃれなデザインにすれば売れるという風に早まらないようにしてください。物販店といっても貴金属や時計、ファッション系から楽器やおもちゃ、スポーツ用品など実にさまざまなジャンルが存在します。加えて同じ時計であっても商店街の中にあって地域の人々に親しまれるお店と、都心部のショッピングモールに入るようなハイブランドの腕時計ばかりを集めたお店では、扱う商品も店舗内装のテイストも全く異なることが分かるでしょう。

このように物販店の店舗デザインを決める際には、優れたデザイナーに依頼するよりも前に明確にコンセプトを決めるべきです。どういった商品を置いて、ターゲットとする客層はどんな趣味を持っているのかなど出来るだけ細かく具体的に考えることが大事になります。流行のスタイルや内装、トレンドをチェックするのも良いですが自身のお店のコンセプトがまずは土台になるということを覚えておいてください。

コンセプトを決めた上で個性も大切に

お店のコンセプトやターゲット層が決まり、参考となる店舗・内装が判明してきます。その次の段階で考えるべきなのが、お店の個性です。色々な視点から他の店舗を参考にしているうちに、大多数が採用しているデザインの方に流れていきがちになります。もちろんそれが経営したい店舗の方針と合致しているなら良いですが、オーナーがセレクトした個性的なコレクションを並べるお店であれば内装もそちらに合ったものにしたいところです。

特に周囲にライバル店が多かったりする場合は、差別化を図ってお客様に来てもらう工夫をすべきです。この商品が買えるのであればどこのお店でも良い、という状態から買うのはこのお店でなければならないという状態にまで持っていくのが理想的と言えるでしょう。他のお店にはない独自性の1つとして、内装デザインに個性を出すことが挙げられます。店頭に並べる商品をどのように選んで、どういう風に使って欲しいという想いを込めるには内装にもきちんとそのマインドを行き届かせることが不可欠です。

商品を引き立てるという基本も大事

店舗内装

物販店の内装には、雰囲気作りの他にも商品の魅力を引き立てるという重要な役割があります。いくらおしゃれな空間を作っていても、商品のイメージと合わなかったり反発しているようでは効果が半減してしまいます。反対に内装に少し工夫をするだけで、一気に商品の魅力が際立つこともあるためこの部分もしっかりと研究しておくべきです。要素の1つとして挙げられるのは、空間の色や素材です。たとえば北欧テイストであれば、白色もしくはブラウン・灰色を主体としつつアクセントカラーを散りばめるという法則があります。木の素材をメインにするなど、統一感を持たせることで空間が整った印象になります。この考えを応用して壁の色味とディスプレイを合わせることで情報量が減ってすっきりとした印象にしたり、逆に反発する色を組み合わせてカラフルで賑やかな空間を演出するなど、さまざまな作戦を立てることが可能です。

そして重要なのが、商品をメインに据えて演出することです。商品ありきで陳列方法を考えて、ディスプレイやインテリアを選ぶようにします。空間が主役ではなく、商品が置かれてはじめて成立するような空間デザインを決めていくのがおすすめです。

滞在時間の向上にも内装デザインは関わっている

お客様が来店して店舗の内装に惹かれたとして、次に大事になるのが滞在時間です。要するにどれだけ長く滞在してもらえるかで、売上にも大きく影響するということです。滞在時間や回遊率を高める店舗デザインは、スーパーから貴金属店まであらゆるショップで重要になってきます。たとえばスーパーやコンビニといった小売店では、長く滞在してもらうために左回りになるよう動線が仕込まれていることが多いです。人間の行動パターンから割り出されている法則があり、これに則った構造にすることで高い回遊率、引いては購買数の上昇が見込めるという訳です。

左から文字を読む習性を利用して、自動販売機では売りたい商品を左上に配置するといった法則もあります。行動パターン以外にも、居心地のよい空間設計などで滞在時間は向上できます。回転率を高めたい飲食店では赤色を採用するという法則を逆手にとって、落ち着く色味の壁や柔らかい照明を使ってリラックスできる空間を作るのも一例です。自身が理想とするイメージに近いお店があったら、必ず訪問して中の様子を確認するえと良いでしょう。

物販店の内装にはバックヤードの設計も欠かせない

店舗の内装と聞くと陳列スペースばかり気にしてしまいますが、バックスペースも同じくらい重要です。在庫を保管したり、シーズン外のポップ・棚など物販店にはさまざまな収納スペースが必要となります。特に家具や楽器、スポーツ用品など商品が大きく場所を取る業種ではバックヤードをきちんと確保してください。在庫の管理はもとより、商品の納入や商品が売れて発送する際の運搬のための動線も必要となるからです。

またどんなジャンルの物販店においても、バックヤードの重要性が高い理由の1つに機会損失の防止が挙げられます。バックヤードに商品を置くスペースが少ないと、品切れを起こす頻度が高くなるからです。当然ながら店舗に商品がないと、せっかくお客様が来ても売る機会を逃してしまいます。そればかりか欲しい時に在庫がないからと、他の店舗に奪われる事態になりかねません。取り扱う商品のジャンルや店舗の規模にもよりますが、保管する在庫に加えてスタッフがすれ違うスペースを考慮して確保するのが望ましいでしょう。

まとめ

店舗内装

物販店の内装デザインは、お客様の第一印象を決定づけてなおかつ売上を左右する大事な要素です。居心地が良い、また行きたいと感じさせる空間作りが必須となります。ただし、空間が主役ではなく、あくまで商品がメインでありそれが主体となる内装デザインを心がけるべきです。まずは店舗のコンセプトを明確にした上で、その理想に近い店舗をチェックしてイメージを膨らませていきましょう。